社会貢献への取り組み

全互協の社会貢献基金制度

助成先団体結果報告

6.摂南大学外国語学部

テーマ

浪花の大ひな祭り

概 要

家庭で飾られなくなった雛人形を再利用して大ひな壇をつくり、ひな祭りを行なう。また歴史や社会調査に基づく展覧会を行なう。ひな人形の再利用と衰退しつつ人生儀礼に係る伝統文化や行事を学び地域について地域を挙げて考えるきっかけとする。

実施内容

【スケジュール】
4~7月、ゼミで雛人形の活用をテーマに、老健施設や外国人の多い語学学校、保育所などの施設をリストアップ。授業で雛祭りの開設およびアンケート調査。
7月16日、大阪豊中市の老人会において、講演および雛祭りに関するアンケート調査。
8月22日、難波の豪商加島屋の雛人形があるという情報を得て、大阪くらしの今昔館(大阪市立住まいのミュージアム)の学芸員とともに、奈良県櫃原市個人宅で調査。江戸後期の貴重な品であることが判明する。
8月、加島屋の雛人形・雛道具が今昔館に寄贈されることが決まる。今昔館は新収蔵品を公開する必要があることから、「浪花の大ひな祭り」に併せて摂南大学と共催で「浪花の豪商の雛道具展」をすることに決まる。
8月26日、室津八朔雛祭り調査。9月18日、仁尾八朔雛祭りの調査。これらの調査は展示およびブックレット製作の資料となった。
11~12月、ポスター・チラシの製作、ブックレットの執筆、写真撮影
12月26日、ポスター・チラシ納品
2月20日、ブックレット納品、2月21~24日、学生らによる展示作業
2月25日(土)「浪花の大ひな祭り」OPEN。以後、随時入館者に開設を行う。
2月26日(日)講演会。高槻康郎(神戸大学)「知られざる豪商・廣岡家」、岩間香(摂南大学)「ひなまつりの歴史とこれから」の講演を行った。同時に外国語学部教員による雛祭りの歴史や、文学に関するパネルが展示された。約230人の聴講者が出席し大変盛況であった。

【展示】
今昔館の第1室では「大ひな壇」と摂南大学の所蔵する民芸雛などを展示した。大雛壇は写真撮影可としたため大変好評であった。また第2室では豪商加島屋の雛道具と関連資料(摂南大学所蔵品を含む)を展示した。展示と解説には本学の教員が協力した。また外国語学部の教員・学生による5言語による説明パネルを設置した。加島屋はNHKの連続テレビ小説「あさが来た」のヒロインの嫁ぎ先のモデルであるため、NHK・日経新聞など多くのメディアに「浪花の大ひな祭り」が紹介された。入場者は18,000人超になり、これは今昔館における展覧会としては大変多い数であった。

事業者のコメント

現在、伝統行事が簡略になり、若い世代に受け継がれていない。その中の一例として雛人形を所有しているにも関わらず飾られないことが増えている。これを有効活用するために「浪花の大ひな祭り」を行った。申請に際して設定した①~④の課題については下記の成果を得ることができた。

①、雛人形の寄付者や地域の高齢者に、癒しと回想の場を提供する。

寄付者に招待状とブックレットを発送し、雛人形が活用されていることを報告した。
展覧会に多くの高齢者が来場した。入場者アンケートは4月2日の終了後に分析予定。

②、地域で共同雛祭りを行うなどの伝承方法を提唱する。

「浪花の大ひな祭り」は4年目を迎え、恒例行事としてメディアの取材も増え大阪に定着しつつある。博物館が地域の古い文化を伝える核として機能するようになっている。

③、学生が伝統文化や行事を学び、地域について考える。

今年度はゼミで雛人形の活用を考えた。老健施設や外国人学校をリストアップし、来年以降の活動の下準備を行った。

④、資源の大切さを訴える機会を提供する。

雛人形を活用している取り組みを展覧会でパネル展示した。古布を使った飾りなどがメディアでも紹介された。以上のことについて、ブックレットを制作し、学内、寄付者、公共施設などに広く配布した。

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