全互協の社会貢献基金制度
助成先団体結果報告
筑波大学大学院 人文社会科学研究科 歴史・人類学専攻 戸邉優美
女性が運ぶ嫁入り道具-婚姻儀礼における嫁集団主体性の研究-
①嫁入り道具の授受(ナガモチワタシ・ナガモチカツギ)の分布について…女性集団による嫁入り道具の授受行為は女川町が北限と推定。しかし、女川町江ノ島の「ナガモチガイ」では嫁入り道具を受け取るときに金銭授受の中心が置かれており、牡鹿半島におけるそれと異なることから、ナガモチワタシとナガモチカツギは明確に分けて検討する必要がでてきた。 ②女講中およびナガモチワタシ関連資料について…東日本大震災によって牡鹿半島のほとんどの集落が浸水し、女講中及びナガモチワタシ関連資料についても倉庫ごと押し流され失われたものが少なくなかったが、大原浜の関連資料は奇跡的に無事だった。 ③嫁入り道具の受け渡しの意義について…南三陸町以北では親族男性の立ち合いを重視する。牡鹿半島のナガモチワタシに注目した場合、これが女講中の立ち合いとなっている点で、性と年齢の秩序の重視、婚礼における女性集団の重視が社会規範となっていることを指摘する。ナガモチカツギに注目した場合、若者の代理としての可能性と経済システムとしての行為を挙げることができる。前者は担ぐ行為を女性が担うことの意義を問う方が重要とした。 ④球磨地方と比較(割愛)